富士山
2015年 08月 01日
両親の後ろをついて歩くが
すぐに離されてしまう。
小走りで追いついても
又 先に行かれる。
そんな記憶があるから 多分、
小学生になるかならないかの頃だろう。
山へと続く坂道になると
それも出来なくなり
息せき切りながら 登って行くと
水場の所で私を待っていた父は
少し、笑っていた。
面白いことはないだろうにと・・。
そのときは解らなかったが・・・
この年になってくると さすがに
確信してそれは解る。
小さな体で懸命に付いてきた息子が
微笑ましかったのだろう・・。
綺麗になった山肌の切り株に
腰を降ろし休んでいると
母が自分の名を叫んでいて
「もっと上に 登っていくとー
フジサン が見えるよーー」
どのような光景が広がるのか
想像することも出来ずに
時々振り返っては上を目指した。
やがて
目線より上にあった近くの山並みが
だんだんと同じ高さになり
それに連れて
遮られていた眺望が開けてきた。
すると南西の地平と空とが合わさる
遥か彼方。
薄いピンク色に光り輝く
富士山が見えた。
綺麗だった。
視線を北西に移すと
益子、真岡市の様子が
冬の光に照らされ
鮮明に広がっているのも見渡せた。
何て広いんだ !
自分の住んでいる場所は
こんなにも広い世界と
繋がっているんだ。
この時の衝撃とも言える感動は
その後、今になるまで体感していない。
今日、8月1日
初盆を迎える家では
真岡市・高田山専修寺へ出向き
線香を求める習わしがあって
高田市と呼ばれるほど出店も多く
一見、賑わいの夜なのだが
・・・・・
あの冬の朝、高みを目指すようにと
教えてくれた母への
線香を求める夜が来る。
by country-log
| 2015-08-01 13:04
| その他